仙台のキラーナという美容室で美容師をしております。スズキユタカです。
今日、頼んでいたものが届きました。
MYハケ!
もちろん、うちのサロンにはデフォルトのハケがあります。
でもぼくはカラーの際、特に根元を塗る時は必ずこのハケを使います。
ハケの毛並の柔らかさ、弾力、厚み、いろいろなハケを試してみて1番いいと感じたからです。
「いい」とは何なのか。
それは使いやすさはもちろんです。彩度の高いカラー剤がメインとして普及してきている今の時代、今までにも増して塗布スピードの重要性は高まっています。
世の中の流れも早くなっていて時間の価値も上がっているからこそ、クオリティを下げずに短時間でお仕上げすることもサービスの一環としては軽視できません。
そういった部分で扱いやすさ、より早く塗布しやすいというのもあるのですがぼくがこのハケにこだわるのは1番はそこではなく
より安全にキレイなカラーを楽しんで頂きたい
というところです。
カラーがしみる原因として、ハケによる頭皮への刺激ということも無くは無いのではないかと思っていて、それを最小限にしたいというのが1番の理由です。それは技術だけでは補えなかったり技術のクオリティを高めるためのところかな、と。
カラー剤を塗る時に塗布量を調節するのは美容師なら誰でもやることなのですが、ぼくの場合は塗布する際のハケの角度で調節します。
少なく塗りたい時は頭皮に対して立てるような角度でハケを入れるのですが固くて太いハケだとと刺激が強まってしまってそれが原因で不可視レベルの細かいキズができる可能性があると考えます。
もちろん、可能性なので関係ないかもしれません。でもそれを確かめるためにリソースを割くならリスクを減らせる手段を考えたいな、と。
そういった面でこのハケの柔らかさなり形状なりがぼくの塗布の仕方には1番マッチしているということです。
KiRANAでこのハケを使うのはぼくだけで、それはサロンのサービスとしていかがなものなのかというところもあると思います。
サロンとしてこだわっていないということではなく、KiRANAのデフォルトは根元は左、毛先は右のハケという使い分けをしています。
ぼくは他のスタッフよりも数百円レベルですが指名料金を頂いています。
それは経験年数で頂いているわけではないし、まして役職とかそういうものはまったく関係なくて、単純に「より良いものを提供する」という責任において付加させて頂いていると思っています。
たとえ数百円でもそれに応えられなければぼったくりだし、それが妥当と感じていただければサービスとして成り立つはずです。
グリーン車しかり、ハイヤーしかり、ビジネスクラスしかり目的地につくことには変わりなくかかる時間も一緒。ただ快適というだけ。
飲食店しかり、ハイブランドのバッグしかり、インテリアしかり、使用目的は安価に代用も出来るけど、そこには素材や作り、工程にこだわりがありストーリーがある。
そういう目に見えない「何か」を作っていくことは大事にしていきたいと思っています。
ぼくが今回ハケを追加したら、アシスタントの「あずたそ」が自分も使いたいと言ってきました。
1本譲りましたがモノの代金はきちんと受け取りました。2年目のスタッフ相手にケチだなぁーなんて思うかもしれませんが、なんの対価も払わずにこだわっているとは言えないと思うのでぼくなりに本人がこだわっていると言える状況にしないと勿体ないと思ったまでです。
せっかく、モノの価値を見出して気に入ったモノがあるのに簡単に何の代償も払わずに手に入れてもそれは「簡単に手に入った無料の何か」でしかなく、自分のこだわりではない。
時間なり労力なりお金なり何かしらの代償を払ってこそ、自分の血肉となりこだわりとなり陳腐な言葉かもしれませんがブランドとなっていくのだと思っています。
そのへんはTwitterでも以下のように述べてみた次第ではあります。
こんな細かいものでもこだわれば愛着も湧くしサービスになりうる。
うちはこのハケに他のスタッフがあまり興味持ってないから実費で買うんだけど自分がいいと思ってるから全然それで構わない。ハサミ買う感覚と一緒だし。— スズキユタカ【スランバーアッシュの人】 (@kiranasuzuki) May 27, 2017
同じサロンでなら同じサービスを受けれるべきみたいな考えもあるだろうけど、同じ薬剤取り扱ってても使う人次第でどこまで良さを引き出せるかは違うしベースは整えた上でそれぞれのスタッフがこだわり持って自分の色は出すべき。
そのために指名制があるんだし。— スズキユタカ【スランバーアッシュの人】 (@kiranasuzuki) May 27, 2017
ぼくは他のスタッフよりもプラス料金頂いている分、こういうところに実費だろうが何だろうがこだわりを持つ姿勢は必要だと思う。
プラスと言っても数百円だけど、その数百円に責任を持ちたい。— スズキユタカ【スランバーアッシュの人】 (@kiranasuzuki) May 27, 2017
ハケ追加したらアシスタントが自分も使いたいと言ってきたから1つ譲った。もちろんあげたのではなくきちんときちんとお金をもらって。
フリーに使えるベーシックなもの以上を求めるなら対価は払うべきだし、犠牲を払わずに何かを得ようとしても得られるものは無い。— スズキユタカ【スランバーアッシュの人】 (@kiranasuzuki) May 27, 2017
ついでに言うと「コスパがいい」というのは悪いことではないと思っています。
しかし、単純に「安い」のではなく「得たものに対して払った代償が小さい」という意味であって、低価格競走になりがちな流れに乗るのは「コスパ」とは別次元の問題です。
強いて言うのなら、お客様のためを思ってコスパを良くしたいのなら値下げではなく、もちろん適正な対価という中で自分の価値を高めることで実現していければウィンウィンなんじゃないかなと、そういう自分を実現するためにはまだまだやらなければいけないことがあるし、むしろ終わることは無いだろうな、と。
最近クソくだらない記事しか書いていなかったのでたまには熱く語ったら長くなってしまいましたが、最後にこれだけは言わせてください。
根は真面目です。