仙台の美容師 スズキユタカのブログ/美容室KiRANA@仙台

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もしも日本代表がW杯で優勝していたら

約 1 分

猛々しく空気を震わせる蝉の声。
ぼくは実家の畳の上で陽射しの圧と命を燃やす蝉の声で目が覚めた。

今日は8月14日。お盆休み。実家で小1時間ほど昼寝をしていたようで、テレビではさっきまでやっていたはずの高校野球の試合がチームを変えて1回の裏に移り変わっていた。

「サッカーに負けじとここから世界に羽ばたこうとする球児たちが熱戦を繰り広げています!」
アナウンサーが世間の目を少しでもテレビに向けさせようと話題のキーワードを繰り出す。

サッカーW杯で日本代表が世界の下馬評を覆して歴史的な優勝を決めて1ヶ月が経とうとしていた。

ベルギー代表とのベスト8をかけた決戦。
日本は原口、乾の2ゴールで先制しながらもベルギーに2点を取られ追いつかれた。
あわや3点目の失点という場面をGK川島の神パンチングで防ぎ、そのまま延長を戦い切りPK戦へ。
ここでも5本中4本を川島がパンチングという奇跡的な神セーブ。
日本も3人が外すというヤバい状況の中、ケイスケ・プロフェッショナル・ホンダが蹴った5本目。
ポストに当たって跳ね返ったボールが、ベルギーGKにあたりゴールするという「持ってる感」をいかんなく発揮。
何とか日本初のベスト8の座をもぎ取った。

準々決勝のブラジル戦はネイマールをタイトマークした結果、ネイマール劇場が繰り広げられた。そこに大ブーイングがおこり、会場の雰囲気に飲まれたレフリーが勢いあまってネイマールに退場宣告。
0-0で延長に入るかと思った後半アディショナルタイムに乾の放った弾丸ミドルをキーパーがセーブ。弾いたところにいたのは、そう。
ケイスケ・持ってる・ホンダ。
数的優位と会場のサポーターを味方につけた日本が歴史的快挙を成し遂げた。

準決勝、フランス戦。
フランスのこれでもかという怒涛の猛攻。
パンチング川島を中心に突然開花した昌子、意外とやれた吉田麻也が何とか死守。
前半、まだそんなに焦ってパワープレーに出るような時間帯でもないのに積極的すぎる攻撃参加をした吉田麻也がコーナーキックから得点し、そのままフランスの猛攻を防ぎ奇跡の勝利。
「サンクトペテルブルクの奇跡」が起きた。

そして、決勝。クロアチアvs日本。
W杯では珍しく初の決勝進出チーム同士の試合となった。
日本では次の日を休みにする会社もちらほらあり、明らかな社会現象を巻き起こしていた。
街を歩けば5人に1人は代表のユニフォームを着てる人がいて、ファッション誌やファッションサイトには「日本代表ユニの着こなし方」みたいな見出しが並んだ。

肝心の試合は前半にクロアチアがオウンゴールを2点献上。
後半にマンジュキッチが1点をもぎとりッチしたが、そのまま試合終了。
日本はなんとシュート0本で優勝した。
「モスクワの偶然」と揶揄されながらも日本代表はロシアW杯を優勝という最高の形で締めくくった。

渋谷のスクランブル交差点に習い、日本全国のスクランブル交差点にユニフォームを着た人達が集い夜通し宴を繰り広げた。
その結果、DJポリスが日本全国に誕生し、W杯特集のスピンオフとしてDJポリスベストイレブンがテレビでは取り上げられていた。

日本のFIFAランクは1位となり、結果としてイニエスタ、F・トーレスに続き元ブラジル代表ロナウジーニョ、元スペイン代表シャビ・アロンソ、元ドイツ代表ゲッツェなど、「元」各国代表選手がJリーグ参戦。
わがベガルタ仙台にはオーストラリアの英雄ケーヒルが。
Jリーグはまるでレジェンドサッカー選手のドリームマッチかのような面々が毎試合のように軒を連ね、観客動員数も跳ね上がった。
そんな天下り式の盛り上がりを見せたJリーグ。

しかし、サッカーのテレビ中継が少しは増えたがW杯の日本代表選手の顔を見かけるのはCMだけとなっていた。
そんなCMの中でも西野監督が「日本代表を優勝に導いたわたしが今度はあなたを快眠に導きます」という上から目線のキャッチコピーをぶつけて来る快眠マットレスに出演したかと思えば、パンチング川島が「あなたの睡魔をことごとくパンチング!」という自虐的なキャッチで推してくるエナジードリンクと、すでにCMの商品にさえ監督と選手の矛盾が生まれ、それが示すかのように西野監督は解任。
後釜には日本代表を踏み台にもう一花咲かせようと長年イタリア代表を率いていた名将マルチェロ・リッピが据えられた。

そんな日本代表選手の中には優勝したことでバーンアウト症候群に見舞われた選手もおり、長谷部、香川、ケイスケ・ホンダが相次いで日本代表からの引退を表明。
ケイスケ・ホンダに至ってはサッカー選手さえも引退し「旅人」になるとどこかで聞いたことのあるセリフを残し姿を消した。
国民からは様々な声が上がったが、槙野が少し遅れて代表引退を表明した頃にはサッカー熱も冷えていたためか誰も触れなかった。

世の中は日本代表便乗商品に溢れ、わたしたち美容業界でもケイスケ・ホンダや長友に触発されメンズのブリーチヘアが大流行。
そして、「90分戦っても崩れない」というハード目なスタイリング剤を各メーカーが一斉に発売。
一般的な会社でも男性のヘアカラーや、明らかにガチガチにスタイリングしたヘアスタイルもある程度認知されるまでになった。

一方、女子に対しては日本代表風の水着が多少プッシュされたものの、ほとんど日の目を見ることもなくすぐに在庫処分のワゴン行きとなった。

消費されていくコンテンツ。
叶えてしまった夢は現実となり陳腐な商売道具に成り下がった。
人の噂も七十五日どころか、1ヶ月も経たずに何事も猛スピードで新陳代謝されていく時代。

刺激的でありつつも、どこかに一抹の恐怖にさえ似た感覚を覚える。

忘れることができるから人は生きていける、と最後のシ者は言った。
人は思い出を忘れることで生きていける。だが決して忘れてはいけないこともある、と総司令も言った。
はたして人類補完計画とは、死海文書とは。
次回、『死に至る妄想、そして』

この次もサービス、サービスぅ!

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宮城県仙台市青葉区、KiRANA SENDAIのクリエイティブディレクター/統括マネージャー。1980年6月14日生まれ。O型。
「その人に寄り添うヘア」をモットーに手入れのしやすさ・自然なのにキマる髪型を追求しています。
柔らかい女性らしいスタイル、ダメージを感じさせないカラーリングが得意です。

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