どうも。
美容師のブログなのにすっかり映画の鑑賞記録と成り下がりました。
仙台市でviaという美容室をやってますスズキです。
今回もネタバレ上等で分かる人に分かればいいノリで長文散文を垂れ流します。
先日、休みの前日の夜に映画「BLUE GIANT」がリバイバル上映されるということを知りました。
我が仙台市が舞台にもなっているジャズサックスプレイヤーの男性が主人公のマンガが原作のアニメ映画です。
観ようかなと思っていたものの予想を遥かに超える短期間上映で幕を下ろしていたことと、かのSLAM DUNKと上映期間が被っていてラスト12秒の刹那に魅了され3度も観に行ってしまったことですっかりスルーしてしまっていたBLUE GIANT。
原作にはハマったのとピアノ演奏が上原ひろみなことなど興味は引かれまくっていたので即決で観に行きました。
えっと、率直に言うと駄作でした。
惜しい気がするけど噛めば噛むほど駄作の味がする駄作中の珍味という感じ。
これモーションキャプチャしてるんですかね?
演奏中の動きが適当じゃないんですよね。
悪い意味で。そりゃあもうぬるぬると。
ぼくは楽器全然だめなので分かりませんがドラム叩くのとかたぶんちゃんと成立させようとしてるんだろうけどそれが逆効果で5Gが当たり前の時代にガラケーの動く絵文字見てる感じでした。
SLAM DUNKのモーションキャプチャはそりゃもう絶妙でバスケ以外の何者でもなく、実写をまんま2次元に落とし込んだリアルさでした。
BLUE GIANTのそれはなんていうかモーションキャプチャの悪いとこ全部のせみたいな。ラーメンなら1500円はします。
ただね。
ただですよ。
原作のBLUE GIANTはマンガなんで当たり前に音は出ないわけで。
主人公の大がサックス吹いてるとこはバババババッとかパパパパラパーみたいなスキャットマンジョンの歌詞みたいな擬音に埋め尽くされています。
原作はそれでも雰囲気でガーッと読めちゃうんでいいんですが、ぬるぬる全部のせ二郎系モーションキャプチャの後ろで流れる曲、これがダメだったらもうこれは救いようのないわけで。
ただ、曲がめちゃくちゃいいんですよね。
ぼくはジャズとかあんまり分からなくて「ビル・エヴァンス切ねぇぇ」とか「マイルス・デイヴィス渋すぎぃ」とかそんなもんです。
そんなぼくでも「これめちゃくちゃジャズじゃん!」みたいな変な高揚感を感じちゃうんですよね。
さすが上原ひろみです。グラミー受賞のオシャレキシは伊達じゃない。
興味ある方はBLUE GIANTのサントラが配信されてるのでぜひ。
そういう演奏の時に劇中に数回、音楽を視覚化しようとした作画があるんですがそれもまたいい。
音楽というより音楽を演奏している感情もろとも映像化した感じ。
作風は全然違いますが「血の轍」っていうマンガがあるんでよね。
毒親とその息子を中心としたこっちは鬱を存分に堪能していただくための旬の鬱をふんだんに使った鬱フルコースのマンガ。
その中で感情を視覚化する描写が何回も出てくるんですがいい意味でめちゃくちゃ気持ち悪いしめちゃくちゃカオス。
正常な感情とか思考でいられない登場人物の狂気をまあ見事に表現していてあれは唯一無二だと思うんですが、それを連想させました。
BLUE GIANTはそういう狂気ではなくいわゆる魂の演奏の「魂」の部分の昂りとかを視覚化しようとしてるイメージ。
感動するとまでは言えませんが試みとしては面白かったし伝わってくるものはありました。
音楽を視覚化するという意味では新しい形を見せてくれたなと。
だからこそあのぬるぬるこってり系ラーメンが残念すぎて…。
というかその前に全体的に作画がアニメアニメしすぎてて、一瞬平成半ばくらいのアニメかと思うくらい。
なんかもうちょっとやりようあったんじゃないのと…。
まだあります。
尺があるんでもちろん原作通りいかないのは分かるんですがなんか詰め込んだ感がハンパない。
大迫もびっくりするくらいの詰め込み感。
端折らないで欲しいとこ盛大に端折ってるし、それなら無かったことにしてくれればいいのに原作でちゃんと作られたエピソードの上澄みだけチラチラ出すから肩透かしの連続というか…
1口目でオニオン全部抜けちゃうオニオンリングをひたすら食べさせられてる感覚でした。
で、ここからはネタバレしちゃいけない部分のネタバレとコンプラぎりぎりの暴言が出てきますのでご了承いただける方だけお読みください。
これ原作者どこまで入ってるんですかね?
もし原作者がちゃんとチェックしててのあのラストならありえなさすぎ。
原作と同じく出演を目指していた超一流ジャズクラブの「ソーブルー」での演奏が決まり、そのライブの2日前の深夜。
ピアニストの雪祈(ゆきのり)がバイト中事故で右手がぐちゃぐちゃになってしまい、1番ソーブルー出演にこだわり人一倍尽力していた雪祈は出られなくなる。
そして大とドラムの玉田は2人だけでライブに挑む。
原作ではそのライブで2人は魂の演奏を見せ大歓声を浴びた後に雪祈の病院へ見舞い&報告に行きそこで右手が治るか分からないと告げられる。
これが映画ではなんと、2日前にトラックに思っくそはねられて右手がぐちゃぐちゃになって治るか分からないと言われた雪祈がソーブルーに来て左手は大丈夫だとか言ってアンコールの演奏に参加します。
あほか!
観客の方が大丈夫じゃないわ!
2日前に交通事故に合いましたって説明もされてる状況で本人が右腕釣って色んなとこ包帯ぐるぐるで1人ではまともに歩けない状態で現れて突然演奏されても心配すぎてジャズもクソもあったもんじゃないわ!
んで左手大丈夫だったとしてもノリノリで揺れながらピアノ弾くとか2日前にトラックに引かれといてそれは無理ありすぎやろが!!
原作者はこれ許したんか!?
BLUE GIANTのあの展開はあれがあったからこそ大は海外に行く決心したわけでめちゃくちゃ大事な流れじゃん!!
いくら原作知らない人も楽しめて、かつ原作とは違いこれ一本で完結させるための形だとしても無理があり過ぎて…。
その演奏はきっとアテレコのピアノ演奏も上原ひろみが実際に左手のみでやったんだろうけど、むしろその演出で話題をねらった悪手だったんじゃないかと邪推までしちゃう!
その割に最後はちゃっかり大が海外に行くくだりやるもんだからあわよくば続編作れたらみたいなの絶対あるやん。
無理ムリむりむりむり!絶対むり!
興行収入も動員も調べてないけど全然はねてないやん!
なんか全体的に上原ひろみというある意味リーサルウェポン的なのを武器にしたものの作り込む時間のなかったから未完成でぶっぱなした感じ。
モーションキャプチャでぬるぬるさせて変えちゃいけない流れを無理矢理ねじ込んで、明らかに作り込みが足りてないのよ…。
これもうクシャナが無理矢理覚醒させた巨神兵なんよ。
火の七日間戦争さえ起こせないレベルの。
原作はもうめちゃくちゃいいし、音楽もめちゃくちゃいいし、演出としてみどころがあっただけに腐海に墜落してしまったことが残念すぎる。
今のとこは各配信サービスで課金すれば見れますが数百円課金する意味があるかは…。
前述したサントラがめちゃくちゃハマったって方は見てもいいかなくらいですかね…。
あと最後に言うけど仙台市民であそこまで訛ってる人いねぇからな。
というかあれもう仙台弁でもねぇからな。
いやぁ、映画って本当にいいものですね(白目)