好きなスタンドはキラークイーンとD4Cです。
どうも。仙台のキラーナという美容室で美容師をしております。スズキユタカです。
あらかじめお伝えさせていただきますが、本記事は漫画「ジョジョの奇妙な冒険」の話がしたいがためにヘアカラーを無理やりこじつけたものであり、記事内に出てくる「ブリーチしないカラー」と「ブリーチするカラー」の優劣や善悪を表現したいわけでも「ブリーチするカラー」を否定したいわけでもありませんのでご了承下さい。
また、ジョジョをご存知ない方におかれましてはガン無視を決めて書き進めて参りますことをお詫び申し上げます。
また、著作権等の関係上、記事内に登場する人物・スタンドに関しての画像は一切ございませんのでご存知ない方はググるor脳内補完にてお願い申し上げます。
序章
と、盛大なネタバレから始まったが義務教育の中に「ジョジョ論」の授業を入れて欲しいくらいに実は深いテーマに満ち満ちた漫画。
「ジョジョの奇妙な冒険」。
とある記事でその漫画の中に「過程と結果」を対峙させているという考察があり、なるほど…と唸っていたがふと、これはヘアカラーに通ずるものがあるのではないか、と気付いた。
そこで、ジョジョとヘアカラーとの相関関係について考察および推論を気が遠くなるほどの長さで書いてみようと思う。
第1章 ボスキャラとブリーチの関係性
キング・クリムゾン
第5部のラスボスであるディアボロのスタンド、キング・クリムゾン、略してキンクリ。
能力は「時を吹っ飛ばす」。つまり、数秒の時間の中をキンクリだけが移動して過程を無かったことにする。
銃で撃たれた時に発動すれば弾が当たる過程が吹き飛び銃弾が後方に跳んでいくという結果だけが残る。
この「時」つまり「過程」を「メラニン」に置き換えてみる。するとそれはまさしくブリーチそのものになる。
「メラニン」を吹き飛ばし髪が明るくなるという結果だけが残る。
つまり本来徐々に明るくなるはずの髪の色を半ば強制的かつ飛躍的に結果まで辿り着かせるということになり、これはまさしくキング・クリムゾンそのものであると言える。
メイド・イン・ヘブン
続いて第6部のラスボス、メイド・イン・ヘブン。略してMIH。
プッチ神父のスタンドであるMIHの能力は「時間を無制限に加速させる。」
これは生物には適用されず、人間や他の生き物側の視点では生物以外が加速度的に移動、変化していく。
つまり「過程」をとんでもなく短縮していることになる。
この場合の「時間」を「リフトアップ(髪が明るくなること)」に置き換えると、これもまたブリーチと同じと言える。
ブリーチは通常のカラー剤と比較してとんでもないスピードでリフトアップさせ髪の明るさを変化させていく。つまりメイド・イン・ヘブンなのである。
プロシュートの兄貴とブリーチの相関
似たような例で第5部のキャラクター、プロシュート兄貴がいる。
彼の名言である『「ブッ殺す」と心の中で思ったなら!その時すでに行動は終わっているんだっ!』というのがあるが、ブリーチは言わば「メラニン」を「ブッ殺す」ものであるが、さすがにブリーチを塗ろうと思った瞬間メラニンが「ブッ殺」されている訳では無いので本記事においては前述した2つの事例、つまりブリーチには当該しないものとして位置付ける。
第2章 キンクリとMIHの最期
さて、ブリーチのメタファーであるキンクリとMIHだが、共に最期は敗れ去る。
キンクリは時を吹っ飛ばすという能力をジョルノ・ジョバァーナのスタンド、ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムの「真実に辿り着かない」という能力により封じられ、死までの過程を永劫繰り返すことになる。
つまりこれまで「過程」を吹っ飛ばし「結果」だけを追っていたディアボロ(キンクリ)は今まで避け続けた「過程」の中に閉じ込められてしまったということになる。
一方、MIHは時を加速させて辿り着く「天国」で自らの能力を逆手に取られエンポリオに敗北する。
これが何を意味するか。両者はともに自らの強力過ぎるスタンド能力が故に苦渋を舐めることとなる。つまりブリーチに置き換えてみると、ブリーチすることで失うことがあるということになる。それはメラニンだけではなく意図していない「何か」を失うわけだ。
第3章 近道とは?
さて、ここまでは敵キャラのラスボスに焦点を当ててきたが主人公側の視点で考えていく。
第5部、ブチャラティチームと称される主人公達は立ちはだかる刺客と幾度も死闘を演じ、時には仲間を失いながらも諦めることなく悲願であったディアボロの正体を突き止め勝利する。
その道のりは決して簡単なものではなかったが暗闇の荒野に進むべき道を切り拓く覚悟を持って進んだ結果である。
しかし、5部の名言にはこんなものもある。
わたしは「結果」だけを求めてはいない。
「結果」だけを求めていると人は近道をしたがるものだ………。
近道をした時真実を見失うかもしれない
つまり、結果ではなくそこに至る過程こそに真実があり、至った結果だけでなく過程にも価値があるということを示しているように思える。
さらに第6部、馬に乗ってのアメリカ大陸横断を描くスティール・ボール・ラン編、通称SBR。
主人公、ジョニィ・ジョースターと行動を共にするジャイロ・ツェペリ。
彼の名言である。
「おれはこのSBRレースでいつも最短の道をの試みたが『一番の近道は遠回りだった』『遠回りこそが俺の最短の道だった』」
遠回りすることで本当に必要なものに近付けたということであると同時に、それは本来は最短を行こうとしていたことからすれば不本意であったが、遠回りをしてみてやっとそれが最短だったと気付いた、という意味であろう。
第4章 実際のカラーで見る「過程」と「結果」
さて、これをヘアカラーに置き換えてみる。
前述の敵ボスキャラが言わば「結果」にいかに早く辿り着くかを優先したいのに対し、主人公側は「過程」を大事にし、「遠回り」に価値を見出す。
つまりメラニンをブリーチで吹っ飛ばし、いかに早く目的のカラーにするかにこだわるのがボスキャラ勢であり、目的のカラーに辿り着くまでの過程を作り込みその過程に意味を見出すのがジョジョとその仲間たちであると言える。
これらはブリーチをした状態にカラーした仕上がりである。もちろんこれはこれでキレイなのは間違いない。むしろブリーチをしなければ出せない質感はある。
だが、どうしても色持ち・ダメージ・褪色の仕方には難がある。
これらはブリーチをせずに、数ヶ月・年単位でカラーを重ね作り込んでいったカラーの仕上がり。
色持ちやダメージ感、褪色時の美しさ、ひいては次のカラーのクオリティやチェンジのしやすさまでを兼ね備えた言わば過程を重要視した仕上がりである。
終わりに
冒頭でも述べたようにどちらが優れていると言いたいわけではない。だが、ブリーチは強力なスタンド能力のようなものである。使い方次第では自分の首をしめることにもなる。
過程を大事にし、回数や時間をかけて丁寧に物事を推し進めていくことも時には大事でありそれがむしろ近道となり得るということは「ジョジョの奇妙な冒険」でたびたび描かれる大きなテーマのひとつであり、それはヘアカラーの考え方にも一致するものである。
以上のような関連性が一連の「ジョジョの奇妙な冒険」のテーマとヘアカラーの双方に見られ、ヘアカラーをすることとはつまり奇妙な冒険であるということが言える。
終わりのないのが終わり
本記事では触れていないが他にもジョジョの世界観と美容師の世界観には偶然とは言い難い関連性が見られる。
今後、不幸なことに気分が乗ってしまい死ぬほど暇な時間があった際にはそちらについても記事化してみようと思ってはいるが、恐らく思っただけでやらないであろうことは合わせて記しておく。
読者の方におかれましても、この記事を最後まで読むというような愚行はこれきりにしておくことを切に願って本記事の締めくくりとする。
では。アリーヴェデルチ!